極上の愛に囚われて
別荘は高台にあるため、夕暮れに染まる街並みが良く見える。
「沙雪……」
背後からすっぽりと抱きすくめられて、鼓動が跳ねる。耳もとで名を呼ばれて鼓膜が甘く痺れる。
「今日はすごく綺麗だ」
甘い声でささやかれて首筋に唇を落とされると、腰がゾクゾク震えてしまう。
「ん……、だ、だって、別れ話だと思ったから、最後にすごく綺麗な私を見てもらおうとしたの」
「ゴメン……哀しい思いをさせて、ほんとうに悪かっった」
「いいの。だって、今は薬指に約束の証があるもの」
不倫じゃなく、恋人として抱き締められているしあわせを実感してる。
「今から、沙雪が僕だけのものになった証をもらうよ」
体の向きを変えられ唇が塞がれた。唇を割って入った彼の舌が痺れるような熱を伝えてくる。甘いキスに酔いしれていると、背中にぽすんと柔らかい衝撃を受けた。
唇も離れてしまったので目を開けると、彼の背後に天井が見えた。
「服を脱がすのがもったいないけど、そうできるのは僕だけだ。この日をずっと待ってたんだ。うれしいよ」
彼の優しい目が潤んでいる。私だけじゃなく、ほんとうにお互いに苦しかったのだ。