極上の愛に囚われて

 私なんて、無理だと思い知っても、なかなか諦めることができない。何事も……。

「そんなことないよ。沙雪の諦めない姿勢はすごいって、いつも思ってるよ。現に営業で証明されてるじゃない。私はすぐに諦めてアタック止めちゃうから、営業に向かないの」
「諦めが悪いって言われちゃうけどね」

 実際に何度断られても足を運ぶから、『間宮さんには負けたよ~』なんて、仕事を貰えることも多々ある。

「それでいいの。沙雪はわが社のホープなんだから、そのまま変わらないでいてほしいわ。ね、食べようか。お腹空いたよ」
「うん、おいしそう」

 パーティは立食形式で、みんな自由に食事を楽しんでいる。

 テーブルの上には、高級食材をふんだんに使用した料理がずらりと並べられている。

 さすが天下の小栗ホールディングスというべきか。もしかしたら、乾杯したシャンパンもモエ・エ・シャンドンかもしれない。

〝ドンペリよりもこっちが好きなんだ〟

 ふと彼の言葉を思い出して胸がキュンと締め付けられる。初めて彼と食事をした時だった。シャンパンのメーカーも味の違いさえも分からない私に、丁寧に教えてくれた……。
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