極上の愛に囚われて
きょとんとしながらも大丈夫なことを伝えると、ホッとしたように微笑んだ。顔が小さくて目鼻立ちがくっきりしてるから、人形みたいに美しい。
それにものすごく華奢だから、ぶつかってきたアヤコさんのほうが怪我をしていそうだ。
「ごめんなさい。次の仕事があって、急いでいるんです。もしもなにかあったら、事務所のほうに連絡してください」
「いいえ、そんな、全然、なんともないですから。ほんとに大丈夫です」
アヤコさんは丁寧にお辞儀をしたあと、急ぎ足で去っていった。
「わ、びっくり……」
「うん、ほんと。でも、すごい細くて綺麗だったよね」
「沙雪、違うよ……後ろ見て。御曹司が歩いてくるの」
「え?」
振り返ったら、安奈の言う通り、小栗さんが取り巻きと一緒に移動していた。
人を避けているのでまっすぐとは言えないけれど、ほんとうにこちらに向かってくるように見える。
「今の見てたんじゃない? 心配してきたのかも」
「え、まさか。そんな? 軽くぶつかっただけなのに」
小栗さんはじっとこちらを見ていて、しかも私と視線が合っているような気がする。
呆然と立つ私のところまで来た小栗さんは少し眉を歪めた。