夜を照らす月影のように#4
「……」

僕の前世からの幼なじみであるメルキュールが僕の家で暮らし始めて、約1週間が経った。今日も、いつも通りに小説を執筆してるんだけど……。

メルの視線のせいで、集中出来ない!!

「メル!集中出来ないんだけど」

僕が壁にもたれかかって、僕を見つめているメルに目を向けると、メルは無言で爽やかな笑顔を浮かべている。

「どんな感じで、執筆してるのか気になって……」

「親しき仲にも礼儀ありって言葉、知らないの!?」

「知ってるよ……しかし、これまた懐かしいことわざを出してくるね……あ、そうだ。ノワールに、聞きたいことがあるんだけどさ」

そう言いながら、僕に近づくと僕のベッドに腰掛けた。

「……ノワール、エリカさんを避けてるように見えるんだけど……」

「……」

「まだ女性が苦手なの?リオンさんや僕と話してる時と、雰囲気がまるで違う」

「あはは……メルには、敵わないな……隠してたんだけど。メルの言う通り、女性が苦手なところは変わらないらしい」

書きかけの小説を見つめながら微笑むと、メルの「そっか」という呟きが聞こえてきた。

その時、僕の部屋のドアをノックする音が聞こえてきて、僕は「はい」と返事をする。部屋に入ってきたのは、1冊の本を抱えていた、僕の義理の兄であるリオンだった。
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