夜を照らす月影のように#4
「……」

カズさんの言葉に何も言えずにいると、カズさんは口を開いた。

「俺だったら、絶対に下がらねぇ。絶対に、その言葉を信用しない」

そう言って、カズさんはリオンに殴りかかる。

リオンは、魔法でカズさんの攻撃を当たる寸前で受け止めると「それで、君が無理をして倒れたらどうするんだ」とカズさんに語りかけた。

「そんなこと、どうでもいい」

そう言ってから始まったリオンとカズの、魔法を駆使した戦闘を、戦闘の中で繰り出される会話を、僕はただ見たり聞いたりすることしか出来なかった。

「お前は、どうして仲間を信じられる?」

僕の目の前に着地したリオンに向かって、カズは問いかける。

リオンは無言で弓を拾うと、弓に矢を番えた。

「…………ノワールは、いや……ノワールたちは仲間であり家族なんだ!こいつらなら、信じてもいいって……信じられるって直感的に思ってる!!俺は俺である限り、絶対にノワールたちを裏切らない!信じ続ける!!……君の質問に答えるよ。家族だからっていう理由だけで、十分だろ!!」

リオンはそう叫んで、矢をカズさんに向かって放つ。矢はカズさんに当たらずに、カズさんの横を飛んで行った。

「……どこを狙っている」
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