夜を照らす月影のように#4
「よし、当たった。君なら動かないだろうって信じて、良かった」

リオンのその言葉に、カズさんは後ろを向いた。そこにいたのは、物の怪。物の怪にはリオンの放った矢が刺さっていて、少し時間が経ってから物の怪は消えていく。

「俺が、君のことを信じたから君を襲おうとしていた物の怪を倒せた。ありがとう」

リオンが優しく微笑むと、カズさんは目を見開いた。

「…………」

しばらく無言で何かを考えていたカズさんは、僕に近づいてくるといきなり僕を蹴り飛ばした。

「ノワール!?」

それを見ていたリオンとメルの声が重なる。地面に叩き付けられてから、僕は顔を上げた。僕の目の前に、カズさんが背を向けて、物の怪と向かい合うように立っている。

「…………そうか。先生を物の怪から守るために、蹴り飛ばしたんだ……」

いつの間にか僕の近くにいたエリカさんは、カズさんを見つめながら呟いた。

「……俺は、ただのネクロマンサーじゃねぇよ」

そう言ったカズさんがアンデッドに手をかざすと、アンデッドは黒い光を放ってカズさんの手の中で1本の刀になる。

「……すごい……アンデッドを、武器に変えた……」

メルが、呟く。
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