死んだはずの遠藤くんが教室に居る話
「今日はほとんど自習になる。お前たちが苦しんでいるのはわかるけど、前に進まなくてはいけない。9時から専門カウンセラーが来て話を始めるから、それまで待ってろ。体調が悪かったら保健室に行け。教室から出て職員室で待機してもいい。夜に保護者会が開かれる。個人面談もあるので、自分の体調を管理して無理しないで過ごすように」
やっぱり大人は誰も信じていない。
「時間つぶしに英語と数学のプリント配っておく。午後から回収する」って、プリントを前の席の生徒たちに配るので、前から回してゆく。
「先生、足りません」
大岸くんがそう言うと、担任はめんどくさそうに遠藤くんの席にプリントを置きに来た。すると遠藤くんはサッと足を出し担任の足を引っかけて見事に転ばせた。
「実像あるんだ」
坂井が声を出すと、担任はムッとして坂井の頭を軽く叩き、何度も首を傾げながら「後から来るから騒ぐなよ!」って、後ろの扉から出て行った。
「ぐっじょぶ」
北沢が遠藤くんに笑うと
遠藤くんは少し微笑んだ。
あの遠藤くんが担任を転ばせるなんて、生きてる時には考えられない。
幽霊になるとなんでもアリなんだ。
変なところで僕は感心していた。
やっぱり大人は誰も信じていない。
「時間つぶしに英語と数学のプリント配っておく。午後から回収する」って、プリントを前の席の生徒たちに配るので、前から回してゆく。
「先生、足りません」
大岸くんがそう言うと、担任はめんどくさそうに遠藤くんの席にプリントを置きに来た。すると遠藤くんはサッと足を出し担任の足を引っかけて見事に転ばせた。
「実像あるんだ」
坂井が声を出すと、担任はムッとして坂井の頭を軽く叩き、何度も首を傾げながら「後から来るから騒ぐなよ!」って、後ろの扉から出て行った。
「ぐっじょぶ」
北沢が遠藤くんに笑うと
遠藤くんは少し微笑んだ。
あの遠藤くんが担任を転ばせるなんて、生きてる時には考えられない。
幽霊になるとなんでもアリなんだ。
変なところで僕は感心していた。