死んだはずの遠藤くんが教室に居る話
「お姉ちゃんの言った通り、本当に僕はバカです。こんなことで命を落とすなんてネットニュースに載るくらいバカな話で……、あ、矢口くん、ごめんこんなバカな死に方したって出されるの恥ずかしいから、配信するなら上手くごまかしてくれる?」と、遠藤くんが言うと矢口は「りょーかい」とスマホを向けて返事をした。

 ずっと撮影していたのか?すごいな。

「家族にも周りにも、いじめられて自殺したって思われていて、くだらない死に方した自分が恥ずかしくて、嫌で、みじめで悲しくて……自分が悪いんだけど、成仏?っていうのかな……なんか遠い場所に引き寄せられる寸前で逃げたら深い穴に落ちたようになって……きっとこれが成仏できないってやつなのか?。なったことないから誰もわかんないよね」

 そう聞かれても、こればっかりは誰もアドバイスできない。

「僕のせいで家族を悲しませて、苦しませてしまったし、誤解されたままでムカついてイラついて……つい、ごめんなさい。ほぼ八つ当たりで昨日あんな発言しました」
 堂々と遠藤くんは言うけれど、みんな「えっ?」「八つ当たりってなんだそれ!」ってリアクションになって教室中がざわついた。

「そりゃ……多少は正直恨んでるとこもあったけど、僕にも悪いとこはあったし、本当に八つ当たりで言っただけで、だって、まさかまた教室に戻ってきて、話ができるとは思ってなかったし、こんなチャンスがあるなら一度言ってみたかったセリフを言ってみようと思っただけなんだ。本当にごめんなさい。復讐なんて考えてないし、地獄に落とす方法もわからない。絶対僕にはそんな力はないから。あの嫌な音はなぜかできたけど……うーん、なんでできたんだろう。でもあれが精一杯で、あとは何もできません」

 衝撃的なカミングアウトに開いた口が塞がらない。
 一度言ってみたかったって
 お姉さんのセリフじゃないけど、本当に中二病としか言えないよ遠藤くん。


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