溺れる遺伝子
「あいつ、しぶといね。」

「友達いなくなっても彼氏いるなら淋しくないんじゃん?」

「うわぁ、ウザ。」


近くにいる女子が聞こえよがしに言ってくる。
彼女らがほんの少し前まで自分の仲のいい友達だったとは思えない程、
その態度は冷淡なものだった。


ヒナは耐えるしかなかった。


しかしヒナが耐えれば耐えるほど、窮地に追い込まれていく。


「あいつ、マゾじゃん?」

クスクス、クスクス

「そんなにいじめられたいってか?」

クスクス、クスクス。

「学校来んな」

クスクス、クスクス。


忍び笑いと悪口が頭に響いてこだまする。

ヒナの我慢も限界に近づいてきた。

今更ながらツバサに「頑張る」と約束したことを後悔した。
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