溺れる遺伝子
ヒナが退院したのはクリスマスの翌日だった。

その翌日にあった筈の終業式にも行かず、ヒナはひたすら自分の部屋に閉じこもっていた。


「お姉ちゃん」

そんなヒナにすずはやたらと話しかけてきた。


「明日大晦日だからさ、除夜の鐘たたきに行こうよ!」

「…除夜の鐘?」

「うん。」


「一人で行ってくれば」


「…うん…」


すずは、さみしい感情を必死でおさえているようだった。

ヒナだって本当はそんなすずが可愛かった。
なのに、口をひらけば冷たい言葉ばかりが出てくる。

…いつしかそんな自分まで嫌いになっていた。

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