溺れる遺伝子
「う、うん…すっごい怖かった」

「そっか。でも俺はいつもは優しいもんな?笑」

「うん…」

「ほーらー!!怖がるなって!!もう終わったんだから」

「うん…」

「だから、今日はもう帰れって。」

「うん…」


一方的に会話が進み、そして終結された。


いそいそとツバサの家をあとにすると、太陽がまだ高い位置にあった。

寒いはずの外気があたたかく感じる。


…いったい…今のツバサはなんだったんだろう…


心にいやな予感を覚えながら、家に帰ると、すずがいた。


「…おねえちゃ…」

ヒナの顔色を見てすずは言葉を飲み込んでしまった。

< 164 / 250 >

この作品をシェア

pagetop