溺れる遺伝子

「ご、ごめんなさい、もう何もしないから!!」


ヒナがトイレで頭を抱えていると外で何かが起きていた。

中学三年にあがった春。声の主は転入生のようだった。
短髪で色白で清潔感のある彼女は、恰好のイジメの的というかんじさえした。

汚れたオンナは清楚な者を黒く染めたがる。


「やぁああ!!もうやめ…」

「うっせえんだよ!!クソ!!」


バシャッ!!!!


おそらくバケツに入ったトイレの水がひっくりかえされたんだろう。

…次の瞬間、ヒナのうわばきがその水で汚れた。


ガターーン!!!!!



「……これ、どーすんの?」

トイレのドアを壊れんばかりに蹴り散らし個室からでてきたヒナは、目の前の集団に濡れたうわばきを突き出した。


「ご、ごめんなさい…新しいの買ってきます!!」

バケツをひっくり返したらしい者が震えながらしゃべりだした。


「…へぇ。面白そうなことしてんじゃん、私もまぜて。」


ガタン!!!

振り上げた足は「清楚」の頭を直撃した。
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