溺れる遺伝子
「ヒーナッ!」

桜を眺める余裕もなくうつむいて歩くヒナにツバサが抱きついてきた。

「あ…ツバサ、おはよ。」

「あーよかった。今日もヒナは笑顔だね。」


――ツバサにはウソの笑顔を見抜く才能にこと欠いていた――


「今日も……ね。」

「…うん…。」


同級生よりも早く丸みを帯びた体。
そして…ところどころに赤や青の斑点がある体。

今日もまた私は……。
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