溺れる遺伝子
「バカヤロー!!!!全然うまくなってねーじゃねーか!!!!」

「ううっ……」


喉の奥を突いていた生あたたかいものが抜かれたと思ったら突き飛ばされた。

ツバサの部屋で頭を打ったのはもう何度目だろう。

「さあ、もう一度だ」

また喉が塞がる。

ヒナはこのニオイが嫌いだ。味が嫌いだ。
呼吸が苦しくなる…胃が痛くなる。

しかし無情にもツバサはいつものようにヒナの喉の奥で果てた。

これを飲み込むまなければ、何をされるかわからない。
ヒナは顔をゆがめないように注意を払いながら飲み込んだ。


「今日はもう帰っていいよ」

毎回、そう言われるのを夢みて…。
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