溺れる遺伝子
そんなヒナの様子にスズが気付かないわけがなかった。


「…お姉ちゃん?」

「黙れ!!!!」

「ごめんね…」


時にスズはヒナの暴力も受けていたが、それでもヒナを心配していた。

ヒナがツバサと別れない理由とは少し違うが、…似ていなくもなかった。


「スズ…ごめん…ごめんね…」

夜、布団にもぐると罪悪感でいっぱいになる。
しかし朝になると忘れてしまう。

自分が罪悪感にさいなまれるたび、ツバサから受けている暴力も「しょうがないもの」と思えてならなかった。
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