溺れる遺伝子

廃墟

「ヒナ…おはよ……あ…」

「清楚」がヒナに話しかけたが、自分の小さな叫び声にさえぎられた。

ヒナの目はもう生きていなかったからである。


ツバサの容赦ない暴力はやがて制服で隠れないところまで及んでいた。

「俺は働いているんだ!!学生のおまえに何がわかる!!」

高校を中退したツバサはまともな就職先がなく、派遣のアルバイトをしていたが、給料が割高ということもあり、その作業は苦境を極めた。

毎日、積み上げられた段ボールとの戦い。
蹴り飛ばしたいのは段ボールなのに、ヒナを蹴り飛ばしていた。


「ここをXとしたらこの表はどうなる…?」

無感情な数学の授業。


…そんなことよりも

このまま私がツバサと一緒にいたら未来がどうなるかを知りたかった。

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