溺れる遺伝子
一瞬にしてスズはすべてを悟ったらしい。
目を開いて、怒ったような、驚いたような表情をした。

「このまえ…吐いてたよね…?」

そう言うや否や、スズは泣きだした。
なんで泣いているんだろう…。


スズはいつもそうだ。

肝心な時にいつも近くにいる。
…そして私はスズに隠し事ができない…。


「うん…。最近ずっと…きてないんだ…。」

「ツバサくんの…だよね?」

「……。」


黙るヒナにスズは抱きついてきた。


「病院…いこ。こういうことはもう…どうにもならないから……」


スズは年の割にこういうことにやけに詳しかった。

きっと、自分の生みの母親がその知識につながるようなことをしたのだろう。


ヒナはスズの頭を柔らかくなでることしかできなかった。
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