溺れる遺伝子
まず、入院に三日間かかること。

妊娠5か月は中期人工妊娠中絶のため、薬で陣痛を起こし、通常の出産のように産み落とすこと。

赤ちゃんは場合によっては産声をあげることもあるということ。


…知らないことばかりだった。

雑誌から得たわずかな知識で中絶をイメージした私も悪かったけれど、まさか産み落とすなんて……。


「いつ入院しますか?」

「今からでも…」


…話はどんどん進んでいった。

病院によっては手術当日にラミナリアという子宮を広げる海藻でできたものを入れるらしいが、ヒナの場合あまりにも若いということで、
明日の朝の手術に向け、今から入れられた。


ラミナリアは水分を吸って徐々に膨らむ。


まだ開いたことのない子宮口を無理やり広げられるわけだから

痛くない筈がなかった。
< 187 / 250 >

この作品をシェア

pagetop