溺れる遺伝子

誰が悪いの?

「バイト行ってくる。」

「あ、行ってらっしゃい…」


結局あのあと学校へ行かなくなってしまった。
いや、行けなくなってしまった。

かわりにアルバイトを始めた。
履歴をごまかせば、雇ってもらえた。


ただし、すぐに解雇されることも少なくなく…
このバイト先はすでに12件目だった。

誰でも雇ってくれるようなところは作業がつらかった。

しかし、やめるわけにはいかない。
いつか自立するのがヒナの目標だった。


幸い一年経ってもツバサにあうことはなかった。

きっと今までの暴力は受験の不安から…

連絡がないから、きっと今頃は安定しているのだろう。だから暴力をふるってくる理由はない。

…そして暴力を受ける道具であるヒナも必要なくなったのだろう。


やっぱり自分の存在は所詮処理ロボットだったのだなと思わざるを得なかった。
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