溺れる遺伝子
「おい、さっさとやれよ。のろま。」

「あーあー、この店初のクビかな。」


バイトたちはあくまで聞こえないように…いや、適度に聞こえるぐらいに言ってくる。

そのうち同期の2人もグルになりだした。
美人で作業が効率よくこなせる2人は、この店の宝に違いない。


「今日、飲み会あるから…ね」


こんな話も、二回目以降は声がかからなくなった。


ヒナは作業が他の者より遅い。
きっと精神的においつめて自主的にやめるのを待っているのだろう。

しかし、やめるわけにはいかない。
自立した生活をおくりたいのだ。


…だけどもう売春はしたくない…。
妊娠はもういやだ…。
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