溺れる遺伝子
「うわぁああああ、わぁああああ」

母は翌朝になっても泣いていた。
このままでは気が狂ってしまうのではないかと一瞬心配したが、そんなことを考えている暇はない。

バイトだ。

先月の収入は12万円。これから研修自給脱出できればさらに高収入が狙えるのだ。

しかし、毎日の戦いはバイト自体よりも、人間関係だった。

「稲森さんって……」

「クスクスクス」

忍び笑いもいい加減にしてほしかった。


「稲森、不合格。研修続行。」

同期の2人はとっくに研修をおえているのに、ヒナはどうしても研修から脱出できなかった。


そして夕方、就労と悪口から解放されると、公園に…。

いつもの返り血を浴び、家に帰るのだった。

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