溺れる遺伝子
「先日お伝えした小動物の変死についてのニュースですが、犯人は16歳の少女でした。少女は児童相談所に送られたということです。」

「残酷ですね。昔の少年Aの事件を思い出しますね。あのまま放っておいたらきっとこの子殺人もやってのけてしまったんじゃないですかね?」


ニュースのコメンテーターは実に勝手なことをいう。

もっともこのニュースを見ていたのはヒナではなく、スズだった。


モザイクがかかっていても、自分がかつて住んでいた家ぐらいすぐにわかる。

あの時のヒナの目を見たスズの不安が確信に変わった瞬間だった。


だが、それでもスズはヒナが大好きだった。
会いたいと切に願っていた。
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