溺れる遺伝子
「今までこつこつ勉強していたのに?」

「……」

「頑張って…頑張ったのに?」

「……」


子供のような口調で職員に質問を投げかけるヒナの目に
何かが灯った。

刃のような鋭い光。
凍ったような表情。

ヒナの中で何かが確実に動いた。


「稲森さん?」


ガシャン!!!!

ヒナはその場にあった椅子をけとばし、施設を飛び出した。
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