溺れる遺伝子
「しっかり捕まってろよ」

海の日。快晴。ツバサの家の前で二人はバイクにまたがった。

「うん!捕まってるから大丈夫!」

「行くぞぉー!」

「安全運転で、ね!」

「さぁどうだか!」


体に風がたたき付けられていく。
本当に一瞬でも手を離したら命にかかわりそうだ。

ヒナはツバサの背中にしっかり抱き着いていた。

景色が後ろに飛んでいく。
いやなことまでどこか飛んでいきそうな気分だ。


「やっほー!」

「ヒナぁここは山じゃないぞぉ」

「だって気持ちいいんだもん。やっほー!やっほー!」

「ははは!やっほー!」
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