溺れる遺伝子
「ツバサ…トイレ……」

「だめだよ」

「…だめって言っても…だって……」

「だーめ。」


さっきとは違う汗に眩暈を覚えながらヒナはツバサの部屋の戸を開けようとした。


ガチャ…ガチャガチャ

「無駄だよ、内側からカギかけてんだから。」


…ヒナの知らない間に、ツバサの部屋は内側からでも施錠できるようになっていた。


「はやく…うう…」

「じゃあ、あと100数えたらいいよ。ゆっくりとね。」


「そんな…」



「はい、いーち、にー…

…きゅーじゅきゅ、ひゃーく!!」



「100!!100数えたから!!ねぇ早く!!お願い!!!!」


「ふん、だめだってば。」

「なんで……ツバ…!!!!!!!」


ヒナの頭が一瞬真っ白になった瞬間、


生暖かいものがどろりとヒナのももをつたって床に落ちた。
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