溺れる遺伝子
恐る恐るTシャツを脱ぐ。
ビキニなんて本当はいやだった。

なのにいつもいつもツバサには逆らえない自分が悲しかった。


不自然に開いた背中、お腹。

生暖かい空気がヒナの脇腹を通り抜けていく。


自分の裸に近い姿をさらすのが嫌で、ヒナはすぐに海に飛び込んだ。


「ちょっとまてよー!ヒナ!おまえ泳げないだろ?…あーあ…」

「ツバサぁ助けてぇ~」

「海まで来てドジるのかよ」

「たーすーけーてー」

「はいはいはいはい」


それはいつもの二人だった。

明るく無邪気。
幼い頃にあまり遊べた記憶のない二人は今、童心に帰っていた。
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