溺れる遺伝子
「あーっあー、マイク入ってなくね?」

「微妙に入ってるよ!」

「じゃあボリュームガンガンあげよーか!」

「いいねぇ!」

「あ、その前にドリンクたのもうか?俺コーラ」

「わかった、とってくるね」





「おまた…」

「ヒナー!遅いぞぉ!」


部屋にはもうカラオケがかかっていた。
ヒナの知らない曲だ。

ツバサはノリノリだったが、ヒナはいまいちのれなかった。


「ほい、ヒナも歌え!」

「…ありがと」


ヒナは自分の得意な曲を張り切って歌ってみた。

しかしツバサはさっきから次に歌う曲のコードを探すのに必死で全然聞いていないようだった。


「あのーツバサ聞いてる?」

「きーてるよ」


そういいながらも相変わらず曲を探すのに夢中なのか、本をペラペラまくっているだけで顔をあげようともしない。

ヒナは急に寂しくなった。
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