溺れる遺伝子
「……。」

「ヒナ?」

「………。」
「どした?」


ツバサがようやく顔をあげた時にはヒナは泣いていた。


「ごめん!さみしかったな!」

「……。」

「もう歌はやめよう」


ヒナが弱々しくこっくり頷くとツバサは慌てて予約曲を全部切った。

画面には占いやランキングが静かに流れ始める。


「泣かないでくれよ」

「…う…ん」

「なぁ、頼むから」

「ご…めん、涙…とまんなくて」


「ヒナ……」



「あ…」



ツバサはヒナを優しく抱きしめた。

ツバサのほのかに甘い香りがする。

あったかい…。



このまま離さないでほしい。
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