溺れる遺伝子
「お母さん?いるの?」

そう言いながらドアを開けると、母と義父がいた。


ふたりとも何も着ていない。



ヒナは慌てて寝室のドアを閉め、自分の部屋に駆け込んだ。


1番見たくない時に1番見たくない光景を目の当たりにしてしまった。

脳みその芯が地獄へゆっくりと沈んでいくような感覚になる。

目をつぶっても今日の出来事はまぶたに焼き付いていて、いやでも出て来るのだった。


ミラーボール…薄暗くて狭い部屋…冷たいコーラ…自分の涙とツバサのカラダ…




ツバサが男の子だという決定的な真実をあらためて突き付けられた気がした。
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