溺れる遺伝子
義父はプレゼントを包みを渡した開けてみるとハートの腕時計だった。

ずっと欲しかった腕時計…。


「いいなぁ…」

「柚子にはまだ腕時計は大人すぎるから中学生になるまで我慢な」

「わかったぁ」


「あ、海斗!こぼしちゃダメでしょ」

「ごめんなさぁい」

「お母さん、これおいしい!」

「ホント!?ヒナのために頑張ったのよ!」


温かな家族の会話。

ヒナがずっと求めていたものだった。

ヒナ自身が自分の誕生日を忘れていたのに家族だけは覚えていてくれたのだった。


『13才』

これが後に重要な数字になることをヒナが気付くのはだいぶ先になるのだった。
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