溺れる遺伝子
「そっか。お義父さん優しい?」

「うん。よくかわいがってくれるよ」

「…そっかぁー……。」


「…どうしたの?」

「ん、なんでもないよ」


「だってさっきから私の……」


そこまで言ってヒナは口をつぐんだ。

ツバサは義父からの時計を凍り付くような冷たい視線で睨むようにして見ていたのである。


「ヒナ。」

ツバサが真面目な顔をして呟いた。


「大好きだから…マジで…だからさ…」


ツバサは声をひそめ、ヒナに耳打ちをした。

ヒナは身震いをして下をむいた。


どうすればいいのかわからない。



でもまたツバサに逆らえず…



頷いてしまったのだった。
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