溺れる遺伝子
ツバサはヒナの小さな手を強くにぎって歩きだした。

強く握っているのに心なしか小刻みに震えていた。


ヒナはただ地面を見つめてツバサに引っ張られている。

こんな時になって、母と誕生日に交わした会話や、小学校時代の指切りの約束とかどうでもいいことばかりでてくる。

頭の中を白くしようとすればするほど雑念が入り込んできて、
まるでそれが脳みそのなかを不規則な動きではい回っているようであった。
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