溺れる遺伝子
建物に入ると受け付けだった。

相手から私たちの顔も、
私たちから相手の顔も見えないように手元以外の部分は曇りガラスになっている。


差し出された紙にツバサはサインをし、受け付け嬢に1000円札を数枚渡す。


それとひきかえに部屋の鍵がツバサに渡された。


開かれるドアの軋む音…

鍵のかかる金属音…

靴下と床が擦れ合う僅かな音まではっきりと聞こえるのは緊張しているせいだろうか。



ヒナは不安で震えていた。
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