溺れる遺伝子
遠くの方でアブラゼミの鳴く声が聞こえる。

ツバサの吐息が熱い。

…焼け付くような痛さとなにかが弾けるような痛さが入り交じって顔がゆがむ。

しかし「痛い」とは言えなかった。(言ったところでやめてくれそうもなかった)


…赤ちゃん産む時ってこれの何十倍痛いのかなぁ…


自分の上で高揚した顔を歪めるツバサをなるべく見ないように、ヒナは目を固く閉じた。
< 53 / 250 >

この作品をシェア

pagetop