溺れる遺伝子
「目、あけて…」


ツバサがうめくようにして言った。声がうわずっている。


「ヒナ、ヒナ…綺麗だよ…」


独り言のようにつぶやくツバサにヒナは言葉をかえすことができなかった。


「ねぇヒナ…なんか言ってよ」

「え……」


ツバサは既に自分だけの世界に入り込んでいるようだった。

ヒナはおいてきぼりにされている。


ヒナは何も考えないように再び目を固くとじた。
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