溺れる遺伝子
「…悲しいね。」

先輩がタバコの煙をくゆらせながらつぶやいた。


最初はみんなと同じになるために始めたたばこ。

吸っている姿が格好いいから…と思って、苦くても無理やり吸った。


「鉛筆よりもこっちのほうが指の間にフィットするんだよね」

いつか先輩の誰かが笑いながら言っていた。


たばこは仲間の証…。


だけど、最近自分の歯の色が悪くなってきた。
声も前より…ハスキーになったかもしれない。
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