溺れる遺伝子
「お母さん、あそぼ!!」

「……あっちいってなさい。」





「お母さん、今度の日曜日は運動会なの…だから、」

「……行かない。あんたどうせ一等とれないでしょ。」





「ヒナちゃんとこはいっつも誰も来ないね。」

無神経なのか、計算なのかわからないけれど、友達はという名の同級生はいつも私を傷つける言葉をなげつけてきた。



不仲な両親。
それも、原因は私がうまれたこと。

さんざん喧嘩してたくせに、いざお父さんがでていったら泣いて泣いて私をせめた母。


「あんたさえ産もうとしなければ!!」

いつか母が私に憎しみの目をむけながら震える声で叫んできた。
きっとこの言葉は私が死ぬまで心の中に住み着くんだろうな…。
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