溺れる遺伝子
「たす…たすけてください…ご主人様…」

「ご主人様じゃない!!!ツバサ様だ!!!!」


ドスッ…!!!!


「げほっ!!!!」


背中に鈍い痛みが走る。
…声が…声が出ない…


「命乞いもできないやつには、死んでもらうしかないな。」

ツバサは楽しそうだった。


「ほらほら、反応しろよ!!!…ばーん!!!」

翼は指で鉄砲を作り、打つ真似をする。


「う…」



「ばーんばーん!!!!バンバン!!!!」

「…ぐ……」


痛くもないのに痛いフリ。
顔をゆがめて苦しめば、翼は喜ぶ。

空虚。虚脱。絶望。

この気持ちをなんと表現すれば伝わるのだろう…。


とにかく、死にたくなった。
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