君、電車、そして…
―――ガタンゴトン ガタンゴトン
入学初日、電車に揺られながらふぅっと溜息をついた。
……気が重い。

行きたくない…わけでは無いと思うけど、それを否定できないのも事実だ。

なんで受験なんかしたんだろうと、何度思ったことか。

でもそれを口に出したところで「自分がしたいって言ったんでしょ」と言われるのは目に見えている。

しかももう入学してしまい、まさに今、登校している。

そう考えたところで、もう変えようがないという事実が改めてのしかかってきて、また溜息を着く。

でも小学五年生という、まだ自分の意見を持っているかいないかも分からない歳の子供に、将来の選択肢が増えるとか給料がどうだとか、メリットだけ伝えて、いかにもデメリットはありませんというふうに言われた…、いや、丸め込まれたら受験するかしないか、という質問に対してYESの返事をするしかないだろう。

だから結局私の意見なんて関係なしに、母親が受験に興味を持った時点で私が受験をするということは決まっていたのかもしれない。
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