策略家がメロメロ甘々にしたのは強引クールなイケメン獣医師
さあ、いつでもどこからでも、どうぞ驚かしてちょうだい。
びっくりしたお芝居で、派手に飛び跳ねてあげるから。
本棚の整理や商品の整理をして、掃き掃除を始めて数分経った。
いくらなんでも遅い。
もう驚かせてもいい距離まで来てるはずなのに。
もしかして、息がかかりそうな距離に近づいてくるつもり?
「お、おはようございます」
いつも冷静沈着で声は柔らかな坂さんが、ワントーン低い声で震えている。
まだ、なにか言いたそうなのに、坂さんったら足に根が生えたように、その場に立ちつくして動かなくなっちゃった。
すぐうしろに人の気配がする。なんか、ぬくもりみたいな温かさを感じる。
やっぱり至近距離から驚かそうって作戦なんだ。
院長、甘いよ、わかりやすいな、もっと捻らなきゃ。
腰を低くして床をほうきで掃いたまま、受付を見たら、金魚みたいに口をぱくぱくしている坂さんと目と目が合った。
笑っちゃいけないけれど、どうしたの坂さん。
院長、いったいなにしているの?
なにも坂さんまで驚かせなくてもいいのに。そんなに凄い仕かけなの?
院長、どれだけ張りきって坂さんを驚かせたのよ。
驚かさないなら振り返っちゃうから。
「院長、おはようございます。驚かそうって魂胆わかってますよ」
顔を上げたはいいけれど。
い、息が止まりそう。ダメダメ、ちゃんと息しなきゃ。
どうしよう、呼吸の仕方を忘れちゃった。
止まる、止まる、息ができない。
深い驚きを吐き出すようにため息をついたら、喉から子犬の鳴き声みたいな声が漏れた。
心に突然急ブレーキをかけられたように驚いて、足は立ちすくんで動けない。
あああ、これが坂さんの心境かあ。なんて、どこかで他人事で見ている私もいる。
「ばは」
言葉にならない声を発して、思わず坂さんを見たら、まだ固まっていて、口はぱくぱく金魚みたい。
私は私で坂さんに救いを求めて、穴が空くほど坂さんの顔を凝視したまま動かない。
嫌だ、動かない。まさかだから動かない。
無理、もう無理。真っ正面に顔を向けられない。
「おはよう」
「ひゃっ」
飛び上がらんばかりに、失礼なほど驚いてごめんなさい。
驚かそうと思っていない人に向かって、派手に驚いたら本当に失礼極まりない。
「おひゃ」
喉まで固くなって、声が裏返ってしまった。
思わず唾を飲み込んで咳払いをひとつ、さあ落ち着け私、声出していこう。
「おはようございます」
びっくりしたお芝居で、派手に飛び跳ねてあげるから。
本棚の整理や商品の整理をして、掃き掃除を始めて数分経った。
いくらなんでも遅い。
もう驚かせてもいい距離まで来てるはずなのに。
もしかして、息がかかりそうな距離に近づいてくるつもり?
「お、おはようございます」
いつも冷静沈着で声は柔らかな坂さんが、ワントーン低い声で震えている。
まだ、なにか言いたそうなのに、坂さんったら足に根が生えたように、その場に立ちつくして動かなくなっちゃった。
すぐうしろに人の気配がする。なんか、ぬくもりみたいな温かさを感じる。
やっぱり至近距離から驚かそうって作戦なんだ。
院長、甘いよ、わかりやすいな、もっと捻らなきゃ。
腰を低くして床をほうきで掃いたまま、受付を見たら、金魚みたいに口をぱくぱくしている坂さんと目と目が合った。
笑っちゃいけないけれど、どうしたの坂さん。
院長、いったいなにしているの?
なにも坂さんまで驚かせなくてもいいのに。そんなに凄い仕かけなの?
院長、どれだけ張りきって坂さんを驚かせたのよ。
驚かさないなら振り返っちゃうから。
「院長、おはようございます。驚かそうって魂胆わかってますよ」
顔を上げたはいいけれど。
い、息が止まりそう。ダメダメ、ちゃんと息しなきゃ。
どうしよう、呼吸の仕方を忘れちゃった。
止まる、止まる、息ができない。
深い驚きを吐き出すようにため息をついたら、喉から子犬の鳴き声みたいな声が漏れた。
心に突然急ブレーキをかけられたように驚いて、足は立ちすくんで動けない。
あああ、これが坂さんの心境かあ。なんて、どこかで他人事で見ている私もいる。
「ばは」
言葉にならない声を発して、思わず坂さんを見たら、まだ固まっていて、口はぱくぱく金魚みたい。
私は私で坂さんに救いを求めて、穴が空くほど坂さんの顔を凝視したまま動かない。
嫌だ、動かない。まさかだから動かない。
無理、もう無理。真っ正面に顔を向けられない。
「おはよう」
「ひゃっ」
飛び上がらんばかりに、失礼なほど驚いてごめんなさい。
驚かそうと思っていない人に向かって、派手に驚いたら本当に失礼極まりない。
「おひゃ」
喉まで固くなって、声が裏返ってしまった。
思わず唾を飲み込んで咳払いをひとつ、さあ落ち着け私、声出していこう。
「おはようございます」