策略家がメロメロ甘々にしたのは強引クールなイケメン獣医師
「桃を疑心暗鬼に陥らせているのは俺だ、ごめん。聞いてほしい、座ってもらえないか」
背が高い卯波先生が、私の目線まで腰を折り曲げて懇願する。
その目は、少しの悪意もなく懸命に訴えてくる。
訴える顔は、哀しみを含んだ寂しげな表情で、声は囁くように弱々しい。
私と向き合おうとする卯波先生の気持ちが伝わったから、もう一度信じてみようと思い、ゆっくりと座った。
「ありがとう」
すっと座った卯波先生が眉をぴくりと上げ、軽く口もとを緩ませ大きく息を吐いた。
まさか卯波先生が緊張しているの?
私まで緊張が感染そう。
「美砂妃のことを説明させてくれ」
頷くは頷いたけれど、なにを言い出すのか不安で、息を飲み込み言葉を待つ。
「与えてしまった誤解は解決したい」
誤解を解こうと、一心に私を見つめる瞳には嘘偽りはない。
真摯に向き合う姿勢に、私の心は卯波先生の想いを受け入れる決意をした。
「美砂妃は自分と結婚しないのなら、センターと分院に大ダメージを与えると言った」
ひどい脅し、なんて人なの。
抑えきれない怒りで裾を握り締めて、必死に耐えた。
「孫娘の私利私欲を満たすために、守沢さんが動くはずはないから、これに関してはなんとも思わなかった」
感情的な私と違って、やっぱり卯波先生は冷静に物事を考えられるんだ。
「あり得ないが、仮にセンターや分院がダメージを受けるのなら、いくらでも解決の糸口は見つかる。だが」
つづきが聞きたくて、思わず前のめりになったら、俯いている卯波先生が下唇を噛んで、険しい表情を浮かべている。
悔しそうな顔に見える、なにがあったの?
「追い打ちをかける、美砂妃の言葉に狂気を感じた」
いったい、なにを言ったの?
「美砂妃は、こうも言った。『私と結婚しないのなら、彼女がどうなっても知らない。彼女の人生を、地獄の底まで突き落としてあげる』と」
「彼女って」
「桃」
顎でも合図してきた。懐かしい卯波先生の癖。
「美砂妃さんに、私たちのことを報告してたんですか?」
「もちろん。美砂妃は妹みたいな存在だから、喜ぶと思った」
美砂妃さんは、ずっとずっと卯波先生に淡い恋心を抱いていたのかも。
「美砂妃は、桃を地獄の底まで突き落とすと言い放ったんだ」
突然、卯波先生の前に現れた私のことが、美砂妃さんは憎くて憎くて、消したいほど邪魔な存在なんだ。
「馬鹿なことはやめろと忠告をし、何度となく止めた。警告を与えたが、美砂妃の耳には響かなかった」
ずっと前に、通用口のところから聞こえた一方的な卯波先生の声。
もしかしたら、美砂妃さんとの携帯電話の会話で、私に対する嫌がらせを止めさせようと、必死になっていたのかもしれない。
「赤い自動車で美砂妃さんは、私を狙って」
私の呟きに卯波先生が頷いた。
「まさか美砂妃が、そこまでするとは思いもよらなかった。 桃が命の危険にさらされることが、俺には耐えられなかった」
背が高い卯波先生が、私の目線まで腰を折り曲げて懇願する。
その目は、少しの悪意もなく懸命に訴えてくる。
訴える顔は、哀しみを含んだ寂しげな表情で、声は囁くように弱々しい。
私と向き合おうとする卯波先生の気持ちが伝わったから、もう一度信じてみようと思い、ゆっくりと座った。
「ありがとう」
すっと座った卯波先生が眉をぴくりと上げ、軽く口もとを緩ませ大きく息を吐いた。
まさか卯波先生が緊張しているの?
私まで緊張が感染そう。
「美砂妃のことを説明させてくれ」
頷くは頷いたけれど、なにを言い出すのか不安で、息を飲み込み言葉を待つ。
「与えてしまった誤解は解決したい」
誤解を解こうと、一心に私を見つめる瞳には嘘偽りはない。
真摯に向き合う姿勢に、私の心は卯波先生の想いを受け入れる決意をした。
「美砂妃は自分と結婚しないのなら、センターと分院に大ダメージを与えると言った」
ひどい脅し、なんて人なの。
抑えきれない怒りで裾を握り締めて、必死に耐えた。
「孫娘の私利私欲を満たすために、守沢さんが動くはずはないから、これに関してはなんとも思わなかった」
感情的な私と違って、やっぱり卯波先生は冷静に物事を考えられるんだ。
「あり得ないが、仮にセンターや分院がダメージを受けるのなら、いくらでも解決の糸口は見つかる。だが」
つづきが聞きたくて、思わず前のめりになったら、俯いている卯波先生が下唇を噛んで、険しい表情を浮かべている。
悔しそうな顔に見える、なにがあったの?
「追い打ちをかける、美砂妃の言葉に狂気を感じた」
いったい、なにを言ったの?
「美砂妃は、こうも言った。『私と結婚しないのなら、彼女がどうなっても知らない。彼女の人生を、地獄の底まで突き落としてあげる』と」
「彼女って」
「桃」
顎でも合図してきた。懐かしい卯波先生の癖。
「美砂妃さんに、私たちのことを報告してたんですか?」
「もちろん。美砂妃は妹みたいな存在だから、喜ぶと思った」
美砂妃さんは、ずっとずっと卯波先生に淡い恋心を抱いていたのかも。
「美砂妃は、桃を地獄の底まで突き落とすと言い放ったんだ」
突然、卯波先生の前に現れた私のことが、美砂妃さんは憎くて憎くて、消したいほど邪魔な存在なんだ。
「馬鹿なことはやめろと忠告をし、何度となく止めた。警告を与えたが、美砂妃の耳には響かなかった」
ずっと前に、通用口のところから聞こえた一方的な卯波先生の声。
もしかしたら、美砂妃さんとの携帯電話の会話で、私に対する嫌がらせを止めさせようと、必死になっていたのかもしれない。
「赤い自動車で美砂妃さんは、私を狙って」
私の呟きに卯波先生が頷いた。
「まさか美砂妃が、そこまでするとは思いもよらなかった。 桃が命の危険にさらされることが、俺には耐えられなかった」