策略家がメロメロ甘々にしたのは強引クールなイケメン獣医師
部屋の気配が気まずいほど、しんとするから、気恥ずかしさと気まずさを解消するように話しかけた。
「分院の名前は、アニマーリア動物高度医療センター分院ですか?」
「それだと長くはないか?」
「長いですよね」
「プレーゴ動物病院」
「プレーゴ?」
「イタリア語で、これ、どうぞって意味だ」
「親切な言葉ですね」
「それも合っている。ご親切に、ありがとうって言われた時に言う、どういたしましてって意味でもある」
見返りを求めず、一心に無償の愛を捧げることに無上の喜びを感じる、献身的な卯波先生らしい素敵な言葉。
「両方の意味が、ポジティブな言葉で気持ちがいいですね、響きも可愛い」
「気に入ってくれて、なにより」
満足そうな顔で前のめりに話す姿に、意気揚々としたプレーゴでの姿が重なって見えた。
「卯波先生が名付けたんですか?」
「ああ」
誇らしげな顔が眩しい。
「桃」
背すじを伸ばし、改まった卯波先生が私の名を呼んだ。
懐かしい優しい穏やかな声で。
「この日がくることを信じていた」
「どれだけ逢いたかったか、卯波先生には想像もできないでしょうね」
「想像はしない」
私のことを、ずっと想っていてくれたって言ったじゃない。
さらりとドライで、冷静沈着な卯波先生に、相づちも打てないほどのショックを受けた。
「どれだけ私が逢いたかったか、卯波先生には想像さえできないんですか? とても寂しいです」
「想像はしない、桃の目に涙が溢れているのが見えるから」
温かな指先が、私の涙を優しく拭った。
包容力のある優しい笑顔に、私の表情が知らず知らずに、にっこりする。
「卯波先生の笑顔が大好き。私の残りの人生で、そうして私に微笑んでいてください」
「約束する」
目を閉じれば耳の奥に、はっきりと覚えている懐かしい声が届いた。
「モノクロの世界から、カラーの世界に戻ってきたみたい。私の瞳に映る景色は、幸せが形になったみたいに鮮やかに見えてます」
「俺の血色もいいだろう、幸せだから」
整った顔が急に崩れると、喉の奥からくすくす笑い声が漏れてきた。
きらきらした目の輝きも、表情やしぐさも生気に溢れ生きいきとしていて、以前の卯波先生に戻ったから安心。
「もう二度と離さない、たとえ桃が嫌だと言っても」
「言いません」
「だろうな」
そして、やっぱりいつも思う。自信満々なところも変わっていないってね。
「また俺の腕の中に戻ってきてくれ、抱き締めさせてほしい」
ソファーから立ち上がり、持て余す長い両腕を目一杯に伸ばし、私の名を呼ぶ愛しく懐かしい声。
震える心も体も抑えきれない衝動に駆られ、私を待つ広く厚い胸に飛び込んだ。
卯波先生の皮膚や呼気からの放熱で伝わってくる、私への強い熱い想いが。
卯波先生の胸に頬を寄せて、心臓の上に耳をつける。
逢いたかった、ずっとこうしたかった。
卯波先生の鼓動は変わらず穏やかで、私の心を安堵させる。
「おかえり、やっと連れて帰れた、桃の家に」
「ただいま、卯波先生の腕の中が大好き」
「桃は、桃の想像以上に俺の人生を変えた。もう二度と離さない」
強く強く、ずっと永遠に抱き締めて。
「いつか、いっしょにいられることだけを想っていたから、毎日乗り越えられた。この日がくることを信じていた」
全身全霊を傾けて抱き締める卯波先生の背中に腕を回すと、ありったけの愛で私をすっぽりと包み込んでくれた。
「分院の名前は、アニマーリア動物高度医療センター分院ですか?」
「それだと長くはないか?」
「長いですよね」
「プレーゴ動物病院」
「プレーゴ?」
「イタリア語で、これ、どうぞって意味だ」
「親切な言葉ですね」
「それも合っている。ご親切に、ありがとうって言われた時に言う、どういたしましてって意味でもある」
見返りを求めず、一心に無償の愛を捧げることに無上の喜びを感じる、献身的な卯波先生らしい素敵な言葉。
「両方の意味が、ポジティブな言葉で気持ちがいいですね、響きも可愛い」
「気に入ってくれて、なにより」
満足そうな顔で前のめりに話す姿に、意気揚々としたプレーゴでの姿が重なって見えた。
「卯波先生が名付けたんですか?」
「ああ」
誇らしげな顔が眩しい。
「桃」
背すじを伸ばし、改まった卯波先生が私の名を呼んだ。
懐かしい優しい穏やかな声で。
「この日がくることを信じていた」
「どれだけ逢いたかったか、卯波先生には想像もできないでしょうね」
「想像はしない」
私のことを、ずっと想っていてくれたって言ったじゃない。
さらりとドライで、冷静沈着な卯波先生に、相づちも打てないほどのショックを受けた。
「どれだけ私が逢いたかったか、卯波先生には想像さえできないんですか? とても寂しいです」
「想像はしない、桃の目に涙が溢れているのが見えるから」
温かな指先が、私の涙を優しく拭った。
包容力のある優しい笑顔に、私の表情が知らず知らずに、にっこりする。
「卯波先生の笑顔が大好き。私の残りの人生で、そうして私に微笑んでいてください」
「約束する」
目を閉じれば耳の奥に、はっきりと覚えている懐かしい声が届いた。
「モノクロの世界から、カラーの世界に戻ってきたみたい。私の瞳に映る景色は、幸せが形になったみたいに鮮やかに見えてます」
「俺の血色もいいだろう、幸せだから」
整った顔が急に崩れると、喉の奥からくすくす笑い声が漏れてきた。
きらきらした目の輝きも、表情やしぐさも生気に溢れ生きいきとしていて、以前の卯波先生に戻ったから安心。
「もう二度と離さない、たとえ桃が嫌だと言っても」
「言いません」
「だろうな」
そして、やっぱりいつも思う。自信満々なところも変わっていないってね。
「また俺の腕の中に戻ってきてくれ、抱き締めさせてほしい」
ソファーから立ち上がり、持て余す長い両腕を目一杯に伸ばし、私の名を呼ぶ愛しく懐かしい声。
震える心も体も抑えきれない衝動に駆られ、私を待つ広く厚い胸に飛び込んだ。
卯波先生の皮膚や呼気からの放熱で伝わってくる、私への強い熱い想いが。
卯波先生の胸に頬を寄せて、心臓の上に耳をつける。
逢いたかった、ずっとこうしたかった。
卯波先生の鼓動は変わらず穏やかで、私の心を安堵させる。
「おかえり、やっと連れて帰れた、桃の家に」
「ただいま、卯波先生の腕の中が大好き」
「桃は、桃の想像以上に俺の人生を変えた。もう二度と離さない」
強く強く、ずっと永遠に抱き締めて。
「いつか、いっしょにいられることだけを想っていたから、毎日乗り越えられた。この日がくることを信じていた」
全身全霊を傾けて抱き締める卯波先生の背中に腕を回すと、ありったけの愛で私をすっぽりと包み込んでくれた。