貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「おかわいそうなナディア様。もうそれぐらいしか言い返せないなんて。ご心配なさらなくても、これからは私がフアールの法になるんです。だって王妃になるんですもの!」

 誰かに聞かれれば問題だが、ここにはナディアと馬しかいない。

 不躾なメイドと違って汚れた藁をナディアに蹴りかけるような真似はしなかったが、最後までコリンヌは耳障りな笑い声を残していった。

 嫌がらせを告げるためだけに現れたコリンヌが去ると、ナディアは膝を抱えて溜息をつく。

「メイドの教育についても文句を言っておけばよかったわ」

 膝へ顔を押しつけた弾みに、置いてあった木の椀が倒れて中身がこぼれる。

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