貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 つかつかと足音高く歩み寄ったのは、かなり体格のいい女性だ。

 大男ほどの身長はないが、縦にも横にも大きい。迫力のある顔には少し皺が寄っており、大男とさほど年齢が変わらないようい見える。

 動きやすいエプロンドレスに身を包んだ女性は、ナディアではなく大男のほうへ向かうと、彼の頭上にある丸っこい獣の耳を勢いよく引っ張った。よく見ると女性にも似た耳がついている。

「こんなにいっぱい食べさせて! 人間はあたしたちと違うんだよ! お腹がはち切れたらどうするんだい!」

「で、でもな、すごく美味いって……」

「あんたみたいなのに詰め寄られたら誰だってそう言うしかないでしょうよ!」

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