貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 あんなにおそろしかった大男が、女性の剣幕に震えて涙目になっている。

 こんな時に申し訳ないが、ナディアは大男を初めてかわいいと思ってしまった。

「まったく、うちの食生活に慣れてるわけじゃないってのに……。――悪かったね、うちの人が無理矢理食べさせたんだろう? 苦しくないかい?」

「あっ、は、はい、大丈夫です」

 話を振られたナディアはつっかえながらもなんとか答えた。

 女性はほっとした様子で肩の力を抜くと、大男の後頭部を軽く叩く。

「なにかあったらゲルハルト様にどう顔向けするんだい。人間にとっては毒になるもんがあるかもしれないんだよ」

「でも美味いって……」

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