貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「この人はうちの料理長。料理馬鹿でね、隙あらば料理を食べさせようとするから気をつけるんだよ」

 ベスがあきれた様子で続ける。

「こんな素晴らしい料理の天才、フアールにはいなかったわ」

 またアウグストがうれしそうに顔を輝かせるも、ベスに小突かれてすぐに表情を取り繕う。

 その様子がおかしくて、ナディアはくすくす笑った。

「あたしはここのメイド長をやらせてもらってるよ。この城には先代の頃から勤めててね。なにかあったらいつでも言っておくれ」

「ありがとう。……あっ、ごめんなさい。ありがとうございます」

 気を緩めすぎたと気づき、急いで言い直す。

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