貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます！～二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?～

「よしよし、任せておけ！　卵料理ならエセル様も喜ぶだろうしな」

「エセルもオムレツが好きなの？」

「あの人は卵ならなんでもいいんだよ。生に近ければ近いほどうれしいんだってさ」

　アウグストの代わりにベスが答え、にっこりと笑ってナディアの頭をぽんぽん叩く。

「好きな料理をおねだりするのはいいけど、量が多くなったらちゃんと言うんだよ。うちのふわふわちゃんはすぐ加減を忘れるんだ」

「俺の料理で喜んでくれるとうれしくてなあ」

　ふわふわちゃんと呼ばれてもアウグストは恥じらいを見せなかった。日常的に呼ばれているようだ。

　恐妻家ではありそうだが、この短時間で仲のいい夫婦だと伝わってくる。