貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 顔を合わせるとエセルはいつもナディアに同じ話をする。

 だからナディアも感謝と問題がない旨を伝えていた。

「だけどゲルハルト様とは相変わらずね。全然話さないし」

「焦らずとも構いませんよ。簡単に解決するものだとは思っておりませんのでね」

 エセルが一瞬だけ遠い目をする。

「そういえば、どうしてゲルハルト様は人間が嫌いなの?」

 獣人たちもナディアと同じように人間に対する偏見を持っている。

 しかしゲルハルトのそれは、ほかの者たちとは異なっていた。

「嫌いというより、憎んでいるというか。なんだか怒っているふうに見えるのよね」

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