貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
(嫌われてはいないけど、好かれているかといったら……。利用できるからつき合ってくれている、という感じよね)

 考えたところで答えが出ないのはわかっていたから、追及せずに話を逸らす。

「忘れていたわ。午後の仕事が終わったら街へ行ってみてもいいかしら? 買い物に誘われたの」

「構いませんよ。そういえばまだ城を出たことがないのでしたか」

「そうなの。こっちにも慣れてきたし、行動範囲を広げるのもいいでしょう?」

「そうですね。ではお小遣いが必要でしょうから」

 エセルは服の胸ポケットから小袋を取り出すと、ナディアの手にのせた。

「えっ、そんな。お小遣いなんて申し訳ないわ」

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