貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「そんなお金を気軽に渡さないで! ちょっと服を見たりお菓子を買うだけだから……!」
「メイドとしての給金を受け取っていないでしょう? 向こう十年分ということで」
「どう考えても多すぎるわ」
ナディアは一枚だけ硬貨を抜き取ると、残りをエセルの手に握らせた。
「お給金ならこれだけで充分よ。あとは気持ちだけいただいておくわね」
「冗談でしたのに」
「あなたの冗談はわかりにくいの」
手の中に残った硬貨は、大銅貨より少し小さい。うっすらと赤みがかった金色で、精巧な絵と文字が掘られている。表には遠吠えする狼が、裏には月が描かれていた。
「メイドとしての給金を受け取っていないでしょう? 向こう十年分ということで」
「どう考えても多すぎるわ」
ナディアは一枚だけ硬貨を抜き取ると、残りをエセルの手に握らせた。
「お給金ならこれだけで充分よ。あとは気持ちだけいただいておくわね」
「冗談でしたのに」
「あなたの冗談はわかりにくいの」
手の中に残った硬貨は、大銅貨より少し小さい。うっすらと赤みがかった金色で、精巧な絵と文字が掘られている。表には遠吠えする狼が、裏には月が描かれていた。